先進医療技術審査部会の結果を受けて当院からのお知らせ
このたび当院が申請しておりました「網膜変性疾患に対する同種iPS細胞由来網膜色素上皮細胞凝集紐移植」について、国の先進医療技術審査部会における審査の結果、今回は承認には至りませんでした。
しかしながら、これまで当院が進めてきた研究体制や安全性への配慮については高く評価され、審査の過程において、評価委員からは「申請医療機関におけるこれまでの実績が世界的に見ても群を抜いている」とのコメントもいただきました。その一方で、臨床効果の評価方法や患者さんへの説明、費用の考え方など、今後改善すべき点も示されました。これらは、計画をさらに発展させるための建設的な指摘と受け止めています。
この治療は、現時点では有効な治療法が存在しない進行性の重い網膜の病気に対して、新しい光をもたらす可能性を秘めています。実際にこれまでに行った臨床研究で治療を受けた患者さんは視機能を概ね維持できており、主に暗い場所での見え方が改善して喜ばれている患者さんもいらっしゃいます。
私たちは、今回の審査結果を糧に改善を加え、改めて計画を提出する準備を進めてまいります。治療法のない病気に苦しむ患者さんの未来のために、研究と臨床をさらに前進させ続けるという私たちの使命は変わりません。
今後とも、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
神戸アイセンター病院 院長 栗本康夫